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長徳寺板碑

友重の長徳寺境内より出土した1311年(応長元年)10月の板碑です。
魚沼地方では南魚沼市長思寺所蔵の1311年(延慶4年)3月の板碑が最古のものですが、それにわずかに遅れて造立されたのがこの板碑です。

魚沼地方の鎌倉時代の板碑は緑泥片岩製の武蔵型板碑で、中でも長徳寺板碑は小型軽量であり、おそらく関東から直接移入されたものと考えられます。

1919年(大正8年)刊行の『中魚沼郡誌』に、「大正元年九月、中野村大字伊勢平治長徳寺境内より発掘せしものにて」とあり、また「山門側より板碑一基発掘す」とも記されていますが、実際の出土位置については、千手観音堂の裏あるいはその右脇の石段付近ともいわれており、杉の古株を掘り起していた際に出土したともいわれています。

現存高39cm、幅17.5cm、厚さ2cmで、ほぼ中央から二つに折れていますがほとんど完形で、これほどの優品は県内でも類例がありません。頭部は山形で、その底辺に二条の沈線を切り込み、表面の上部に天蓋(てんがい※1)、瓔珞(ようらく※2)、キリーク・サ・サクの阿弥陀三尊種子(※3)を刻み、主尊(キリーク※4)の下には、中房(ちゅうぼう)付きの蓮座(れんざ※5)を刻んでいます。また、下部の中央には花瓶(けびょう)と蓮花を刻み、その左右に「応長元年」(1311年)「十月二日」の造立紀年銘および偈(げい※6)を刻んでいます。

1976年(昭和51年)3月3日に旧・川西町の文化財に指定されました。

  1. 種別 十日町市指定有形文化財(考古資料)
  2. 名称(読み) 長徳寺板碑(ちょうとくじいたび)
  3. 記号・番号 考・第1号
  4. 所在地 十日町市友重乙170番地1
  5. 所有者 長徳寺
  6. 指定日 1976年(昭和51年)3月3日

※1 天蓋(てんがい) 仏像などに指しかけて吊るす、笠状の装飾。
※2 瓔珞(ようらく) 天蓋の装飾。魔除けの意味を持つ。
※3 種子(しゅじ) 梵字一文字で示した、供養の対象の仏・菩薩。
※4 キリーク 梵字(ぼんじ)で阿弥陀如来を示す。
※5 中房(ちゅうぼう)付きの蓮座(れんざ) 中房(ちゅうぼう)とは蓮肉のことで蓮座は蓮華形の台座。
※6 偈(げい) 仏の教えや仏・菩薩の徳を讃えたり、または教理を説く詩。多くは四句からなる。「諸行無常、是生滅法、生滅滅已、寂滅為楽」など。