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策と対策

新型コロナウィルスの関係でいろいろと取り組むこともあるかと思いますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。学芸員Aです。

十日町市ではこんなチラシを配っています。

毎日のニュースでもう常識のようになっていますので、この内容をここで改めて周知する必要もないのかもしれません。

なので、ちょっと目線を変えて右下の組織名を見てみたいと思います。

「十日町市新型コロナウィルス感染症対策本部」

見たいのは組織の内容ではなく、名称、それだけです。

前から気になっていたのですが、時々こういう言い方を見ることがありませんか。

「・・・感染症防止対策」

なんとなく耳になじんだ言い方のような気もするのですが、よく考えるとそれではいけません。これは逆のことを表しているのです。

まず辞書を引いてみます。(デジタル大辞泉)

【策】
はかりごとや計画。また、事をうまく運ぶための手段・方法。「策を練る」「策を授ける」

【対策】
相手の態度や事件の状況に対応するための方法・手段。「人手不足の対策を立てる」「対策を練る」「税金対策」

「策」は手段方法で、「対策」は態度や事件の状況への対応方法・手段で、例に上がっているように、「人手不足」とか「税金」とか、だいたいは主体にとって良くない状況に応じる策です。

新型コロナウィルス関連なら、その感染症が良くない事であり、これに講じる手段などが「対策」となります。だから上の「十日町市新型コロナウィルス感染症対策本部」は正しい用法といえるでしょう。

では「・・・感染症予防対策」のほうはどうでしょうか、

「感染症予防」という良くない事件の状況があって、それに対する策を講じるのでは、予防を向こうに回していることになり、意図していることと反対の意味になってしまいます。「感染症予防」は実はそのままでいいのですが、あえてつけるなら「策」でしょうか。「感染症予防策」、です。

そうはいっても、「予防対策」を検索すると本当に沢山ヒットします。医療系のサイトも含まれています。
この妙な違和感、これからも感じ続けていくのでしょうか。

学芸員A